はじめに
また、この下の左にある▶の再生ボタンをクリックしていただくと、フリーBGM素材のジングルベル〜きよしこの夜をお聞きできますので、よろしかったら、ぜひ、聞いて見て下さいね。
第1章
9才のフローラはお母さんのお使いで、大通りのチーズ屋さんまで出かけて行った。
イブの夕方は車や人々が行き交い、ケーキを下げたおじさんや、若いカップルが楽しそうに急ぎ足で通り過ぎる。
フローラは買い物を済ませて近道をしようと、いつもはあまり通らない細い路地に向かった。
第2章
路地の中の商店街は、ひっそりしている。
フローラは淋しくなってサンタの歌を歌いながらステップすると、残り雪にかかとを取られ、ステン‼と転んで買い物カゴからチーズが転げ落ちた。
それをサッ!と拾って「大丈夫かい?」と手渡してくれた人!
見ると優しそうな男の子が、静かに立っていた。
フローラはキョトンとして、その少年を上から下まで眺めると、たった一つ不思議なことに赤い長靴をはいていた。
するとその少年は路地の奥の方に向かって歩き出し、見えなくなって行った。
第3章
すっかり遅くなったフローラは急いで家の前まで来ると、なんと屋根の上空にさっきの少年がサンタの格好でトナカイのソリに乗り、手を振っている。
フローラも思わず手を振って応えたが、
でも・・・
「サンタクロースって、あんなに若いお兄さんだったかな?
白いヒゲのおじいさんのはずだけど・・・」
そこにお母さんのドア越しに呼ぶ声がした。
「遅かったわね。外で何話しているの?
寒いから早く中に入りなさい」
イチゴのケーキやローストチキン、その他お腹いっぱい食べて、いつものように眠くなるはずが・・・
第4章
フローラはその夜ベットに入っても中々、寝つかれず拾ってもらったチーズと一緒に渡された雪の結晶みたいにキラキラ光る星のカケラを、見つめていた。
そしていつの間にか夢の中で《世界中の子供達にプレゼントを配って歩く【お兄さんサンタ】》のお手伝いをしながら旅をする、最高に楽しい夢を見ていたのです。